手をつくと手首が痛い…その原因と改善のヒント

床に手をついた瞬間、ズキッと手首に痛みが走る。

腕立て伏せやヨガをすると痛くて続けられない。

小さなお子さんを抱き上げたり、床から立ち上がったりするだけでも手首が気になる。

そんなお悩みはありませんか。

「使いすぎだから仕方ない。」

「湿布を貼って様子を見よう。」

「ストレッチを続ければそのうち良くなるかな。」

そう考えている方も多いかもしれません。

もちろん、それで改善するケースもあります。

しかし、何週間、何か月と痛みが続いている場合は、痛みが出ている場所だけではなく、身体全体の使い方や神経の働きまで考える必要があるかもしれません

今回は、手をつくと手首が痛くなる原因と、私がどのような視点で身体を評価しているのかをご紹介します。

手をつくと手首が痛くなる原因とは?

手首を反らしたときの痛みには、さまざまな原因があります。

使いすぎによる腱や靱帯への負担、TFCC(三角線維軟骨複合体)の障害、関節の炎症、捻挫、変形性関節症などが代表的です。

また、転倒後や強い衝撃を受けたあとに痛みが続いている場合には、骨折や靱帯損傷が隠れていることもあります。

このようなケースでは、まず整形外科などの医療機関で適切な診断を受けることが大切です。

治療を続けても改善しないのはなぜでしょうか?

病院で異常はないと言われた。

湿布やサポーターを使っている。

ストレッチも続けている。

それでも痛みが変わらない。

実際に、このようなご相談を受けることは少なくありません。

炎症や組織の損傷が原因であれば、その治療はとても重要です。

しかし、組織の回復が進んでいるにもかかわらず痛みが残っている場合は、手首そのものだけでは説明できないことがあります。

私は、そのような場合には身体全体の使い方や神経のコントロールに目を向けます。

私は手首だけではなく身体全体を評価します

手首は単独で動いている関節ではありません。

前腕、肘、肩、肩甲骨、体幹までが連動して初めて安定した動きが作られます。

例えば、肩甲骨の動きが小さい方や肩関節が内側へ入りやすい方では、本来肩や体幹で受け止めるはずの力が手首へ集中することがあります。

また、体幹の安定性が低下している方では、床へ手をついた瞬間に身体を支えきれず、手首へ大きな負担がかかることもあります。

つまり、痛みがある場所と本当の原因は一致しないことも少なくありません。

だから私は、痛い場所だけを評価するのではなく、身体全体がどのように連動しているのかを確認しています。

神経科学から考える手首の痛み

私は、筋肉や関節だけではなく、神経がどのように身体をコントロールしているかという視点も大切にしています。

身体は、関節や筋肉から送られる感覚情報を脳が受け取り、その情報をもとに筋肉へ指令を出しています。

そのため、関節の構造に問題がなくても、感覚情報の処理や筋肉の出力バランスが乱れることで痛みや動きの異常が起こることがあります。

手をつく動作では、手関節を安定させるために伸筋群が適切なタイミングで働くことが重要です。

しかし、臨床では屈筋群が過活動となり、伸筋群が十分に働けていないケースを多く経験します。

この状態では、手首を反らした際の安定性が低下し、関節包や靱帯、腱へ余計なストレスが加わります。

その結果として、荷重時の痛みや違和感につながることがあります。

では、なぜ屈筋群が過活動になってしまうのでしょうか。

私は、その背景にある中枢神経系の働きまで評価しています。

小脳やPMRFの働きも評価しています

筋肉は、自分の意思だけで動いているわけではありません。

姿勢を維持し、滑らかな動きを作るためには、小脳や脳幹が常に筋肉の活動を調整しています。

小脳は運動のタイミングや正確性だけではなく、筋緊張や姿勢制御にも深く関わっています。

私は、小脳機能の低下が疑われる方ほど肩関節が内旋しやすくなり、肩から前腕にかけて屈筋群が優位になるパターンを多く経験しています。

肩関節が内旋位になると、前腕や手関節屈筋群の活動が高まりやすくなります。

その一方で、本来荷重時に十分働いてほしい手関節伸筋群の出力が低下し、手首を安定させる能力が低下します。

その結果、同じように床へ手をついても、一部の組織へ過剰な負担が集中しやすくなります。

さらに脳幹にはPMRF(橋網様体)という姿勢制御に重要な領域があります。

PMRFは網様体脊髄路を介して抗重力筋である伸筋群の活動を調節しています。

この働きが低下すると、身体を支える伸筋群の活動が弱くなり、その代償として屈筋群が優位になりやすくなります。

私は、このような神経科学や運動制御の考え方も踏まえながら、手首だけではなく身体全体を評価しています。

たぐち整体では神経機能まで含めて評価しています

同じ「手をつくと手首が痛い」という症状でも、原因は一人ひとり異なります。

そのため私は、「手首が痛いから手首を施術する」という考え方ではなく、なぜ手首へ負担が集中しているのかを見つけることを大切にしています。

例えば、手首を反らしたときの痛み一つをとっても、

肩関節の可動性が影響している方もいれば、肩甲骨のコントロールが低下している方もいます。

また、前腕の回内・回外運動が十分に行えず、手首がその動きを代償しているケースもあります。

さらに、小脳やPMRFの働きが低下し、伸筋群の出力が十分に得られていないことで、身体全体が屈筋優位の運動パターンとなり、結果として手首へ過剰な負担が集中していることもあります。

つまり、同じ症状であっても原因は一つではありません。

だからこそ私は、決まった施術を行うのではなく、その方の身体が現在どのような運動戦略を選択しているのかを評価することから始めます。

感覚入力が変わると運動出力も変わります

身体は、筋肉だけで動いているわけではありません。

皮膚、筋肉、関節、前庭、視覚など、さまざまな感覚受容器から情報が脳へ送られています。

脳はその膨大な情報を統合し、「どの筋肉を、どのくらい働かせるのか」を瞬時に決定しています。

つまり、

入力(Input)

統合(Integration)

出力(Output)

という流れで身体はコントロールされています。

もし入力される情報の精度が低下すれば、脳は正確な運動プログラムを作ることができません。

その結果、必要以上に力が入ったり、一部の筋肉ばかり使う運動パターンとなったり、関節へ負担が集中することがあります。

私は、この入力・統合・出力という神経科学の考え方をもとに評価を行っています。

手首だけではなく、身体全体のネットワークを考えます

例えば、手首の痛みがある方でも、

肩関節の内旋が改善すると、前腕の筋緊張が変化することがあります。

肩甲骨の安定性が向上すると、手首の荷重が楽になることもあります。

また、小脳や脳幹へ適切な感覚入力を行うことで、伸筋群の活動が高まり、手首の安定性が改善するケースも経験しています。

このような変化は、痛い場所へ直接施術したからではなく、身体全体の運動制御が変化した結果として現れたものと私は考えています。

そのため、たぐち整体では局所だけを見るのではなく、身体全体を一つのシステムとして評価し、その方に必要な感覚入力や運動学習を組み立てながら施術を進めています。

手首だけを治療しても改善しないことがあります

手をつくと手首が痛い原因は、一つではありません。

もちろん、炎症や組織の損傷が原因となることもあります。しかし、それだけでは説明できないケースも数多く経験しています。

私は、痛みは結果であり、その背景には身体全体の運動パターンや神経系の働きが隠れていることがあると考えています。

手首だけを施術して一時的に症状が軽くなったとしても、肩や肩甲骨の動き、姿勢、神経のコントロールに問題が残っていれば、再び手首へ負担が集中してしまう可能性があります。

だからこそ、局所だけではなく、身体全体を一つのシステムとして評価することが大切です。

たぐち整体では解剖学・神経科学をもとに評価しています

たぐち整体では、痛みがある場所だけを施術するのではなく、身体全体のつながりを大切にしています。

関節や筋肉だけでなく、感覚受容器から入力される情報、脳での情報処理、筋肉への出力という一連の流れを評価し、どこで身体のコントロールが乱れているのかを確認します。

さらに、解剖学や運動学だけでなく、神経科学や機能神経学(FNT)の考え方も取り入れながら、一人ひとり異なる身体の反応を評価しています。

そのため、「同じ手首の痛み」でも評価内容や施術内容が同じになることはほとんどありません。

大切にしているのは、痛みを追いかけることではなく、なぜその場所へ負担が集中したのかという原因を探ることです。

まとめ

手をつくと手首が痛い症状は、使いすぎや炎症だけが原因とは限りません。

身体全体の使い方や筋肉のバランス、さらには神経系による運動制御が関係していることもあります。

湿布やストレッチを続けても変化がない場合や、何度も同じ症状を繰り返している場合は、これまでとは違う視点で身体を評価してみることも一つの選択肢です。

私は、解剖学・運動学・神経科学をもとに身体全体を評価し、一人ひとりに合わせた施術を行っています。

手首の痛みでお困りの方は、手首だけではなく身体全体の状態を見直すことで、新たな改善のヒントが見つかるかもしれません。

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