肩こり・首こり・腰痛が気になる方へ|胸椎の横の動きを取り戻すセルフケア

肩こりや首こり、腰の張りが気になるとき、肩や腰だけを揉んだり伸ばしたりしていませんか?

もちろん、つらさを感じている部分をケアすることも大切です。

しかし、体は一つの部分だけで動いているわけではありません。

首、背中、腰、骨盤などが連動し、それぞれが少しずつ動きを分担することで、日常の動作を行っています。

今回ご紹介するのは、背中にある「胸椎」の横方向の動きと、回旋の動きを組み合わせたセルフケアです。

椅子に座ったままできるため、デスクワークの休憩中や、背中の張りを感じたときにも取り入れやすい運動です。

まずは動画をご覧いただき、無理のない範囲で一緒に動かしてみてください。

今回のセルフケアは、このような方におすすめです

・肩や首がこりやすい
・背中が張りやすい
・腰に負担を感じやすい
・長時間のデスクワークが多い
・スマートフォンを見る時間が長い
・体をひねりにくい
・体を横へ倒しにくい
・姿勢が丸まりやすい
・背骨の動きが硬いと感じる

痛みや動きにくさの原因は一人ひとり異なりますが、胸椎の動きが少なくなっている方には、今回のセルフケアが役立つ可能性があります。

胸椎とはどの部分?

胸椎とは、首の下から腰の少し上まで続いている、背中の背骨です。

背骨は大きく分けると、首の部分にある頸椎、背中にある胸椎、腰にある腰椎に分けられます。

胸椎は全部で12個あり、肋骨とつながりながら、体を曲げる、反らす、横へ倒す、ひねるといった動きに関わっています。

ところが、普段の生活では胸椎を大きく動かす機会が少なくなりがちです。

なぜ胸椎の横の動きが大切なのか

普段の生活を思い浮かべてみてください。

仕事をする。

スマートフォンを見る。

車を運転する。

食事をする。

椅子やソファで休む。

私たちは、一日の多くを正面を向いた姿勢で過ごしています。

前に丸まったり、少し体を起こしたりすることはあっても、体を横へ倒したり、背中からひねったりする動きは、あまり行っていません。

では、胸椎の横の動きが少なくなると、なぜ問題になるのでしょうか。

私たちの体は、首だけ、腰だけというように、特定の場所だけで動いているわけではありません。

例えば、後ろにある物を取るときには、首、胸椎、腰、骨盤などが連動して動きます。

歩くときや腕を振るときにも、背骨には小さな横の動きや回旋が起こっています。

本来は、複数の関節が少しずつ動くことで、体全体に負担を分散しています。

しかし、胸椎が正面を向いたまま固まり、横への動きや回旋が少なくなると、本来胸椎が担当するはずだった動きを、首や腰などが代わりに行わなければなりません。

このように、ある部分の動きが少ないために、別の部分が過剰に動くことを「代償」と呼ぶことがあります。

胸椎が動かない状態で振り返ろうとすると、首だけを大きくひねってしまうかもしれません。

また、胸椎と腰椎の境目や、腰の一部分に動きが集中することもあります。

その状態が続けば、特定の関節や筋肉に負担がかかり、首や肩のこり、背中の張り、腰の違和感などにつながる可能性があります。

もちろん、肩こりや腰痛の原因が、すべて胸椎にあるわけではありません。

それでも、動きが少なくなった胸椎を丁寧に動かし、体全体で動きを分担できる状態を目指すことは、とても大切です。

筋肉を伸ばすだけではなく、脳へ感覚を届ける

一般的なストレッチでは、

「筋肉が硬いから伸ばしましょう」

という考え方がよく使われます。

筋肉を無理なく伸ばすことも、もちろん大切です。

一方、私が学んでいるFNTでは、筋肉だけではなく、感覚入力と脳の働きも含めて体の動きを考えます。

筋肉や関節、皮膚などには、体の状態を脳へ伝えるためのさまざまなセンサーがあります。

これらのセンサーは、

「関節が今どの位置にあるのか」

「どの方向へ動いているのか」

「どのくらいの速さで動いているのか」

「筋肉がどれくらい伸びているのか」

といった情報を脳へ送っています。

脳は、目や耳、皮膚、筋肉、関節などから送られてきた情報を統合し、その状況に合わせて、どの筋肉をどれくらい働かせるのかを調整します。

簡単に表現すると、

「感覚入力が変われば、体から出る運動の出力も変わる可能性がある」

ということです。

今回のセルフケアも、力任せに筋肉を伸ばすことが目的ではありません。

胸椎を自分で小さく丁寧に動かし、背中の位置や動きに関する感覚入力を脳へ届けることが目的です。

そのため、大きく動かす必要はありません。

誰かに強く押してもらう必要もありません。

自分で動きを感じながら、痛みのない範囲で少しずつ行うことが大切です。

胸椎は横に倒れるだけではありません

今回のセルフケアでは、体を横へ倒す動きと、ひねる動きを組み合わせます。

胸椎は、横へ倒す側屈という動きが起こるときに、回旋の動きも組み合わさります。

横へ倒す動きだけを無理に繰り返すのではなく、胸椎に起こりやすい連動した動きを使いながら、少しずつ動かしていきます。

今回は、胸椎を大きく上部と下部に分け、それぞれ異なる方向へ動かします。

セルフケアを始める前に確認しましょう

まず、椅子に浅く座ります。

両足の裏を床につけ、無理のない範囲で背筋を伸ばしてください。

腰を強く反らせる必要はありません。

力を入れて良い姿勢を作るというよりも、頭から骨盤までを楽に起こすイメージです。

動作中に強い痛み、しびれ、めまい、吐き気などが出た場合は、すぐに中止してください。

下部胸椎のセルフケア

最初に、背中の下側にある下部胸椎を動かしていきます。

右側から行う場合は、次の順番で動きます。

1.椅子に座り、背筋を楽に伸ばします。

2.体を少しだけ右へ倒します。

3.その位置から、体を少しだけ左へひねります。

4.さらに少し右へ倒します。

5.もう一度、少し左へひねります。

一度に大きく動かすのではなく、

「少し右へ倒す」

「少し左へひねる」

という動きを交互に繰り返しながら、少しずつ動く範囲を広げていきます。

痛みが出ない範囲で十分です。

息を止めず、力まないように行いましょう。

動ける範囲まで進んだら、ゆっくりと正面へ戻ります。

反対側は、

「少し左へ倒す」

「少し右へひねる」

という組み合わせで行います。

動きの途中で背骨から音が鳴ることもありますが、音を鳴らすこと自体が目的ではありません。

強くひねったり、無理に音を鳴らそうとしたりしないでください。

上部胸椎のセルフケア

次に、背中の上側にある上部胸椎を動かします。

両手を後頭部付近に軽く添えてください。

頭を強く引っ張らず、手を添える程度で大丈夫です。

右側へ動く場合は、次のように行います。

1.体を少しだけ右へ倒します。

2.そのまま体を少しだけ右へひねります。

3.もう一度、少し右へ倒します。

4.さらに少し右へひねります。

上部胸椎では、倒す方向とひねる方向を同じ側にします。

反対側では、

「左へ倒す」

「左へひねる」

という動きを少しずつ繰り返します。

下部胸椎のセルフケアとは、ひねる方向が異なるため、動画を確認しながら行ってください。

動ける範囲まで進んだら、その位置で無理なく深呼吸を2回ほど行います。

息を吸ったときに背中や肋骨が広がる感覚を、ゆっくり感じてみましょう。

呼吸を終えたら、急に戻らず、ゆっくりと正面へ戻ってください。

なぜ小さく、ゆっくり動かすのか

ストレッチは、大きく伸ばすほど効果が高いと思われることがあります。

しかし、体は強く動かせば、必ず緩むわけではありません。

急に強く伸ばされたり、無理に大きく動かされたりすると、脳がその動きを危険だと判断する場合があります。

危険を感じた体は、防御反応として筋肉の緊張を強めることがあります。

柔らかくしようとして強く伸ばした結果、かえって体が力み、動きにくくなってしまうこともあるのです。

そのため、今回のセルフケアでは、無理に可動域を広げようとしません。

大切なのは、

・自分で動かすこと
・小さく動かすこと
・ゆっくり動かすこと
・痛みのない範囲で行うこと
・呼吸を止めないこと

です。

動ける範囲は、日によって変わっても構いません。

左右差があっても、無理に同じ角度まで動かそうとせず、その日の体の感覚を確認しながら行ってください。

どのようなタイミングで行えばいい?

今回のセルフケアは椅子に座ったままできるため、日常生活にも取り入れやすい運動です。

例えば、

・デスクワークの休憩中
・長時間スマートフォンを見たあと
・背中が張ってきたとき
・同じ姿勢が続いたとき
・運動を始める前
・一日の終わり

などに行ってみてください。

たくさん繰り返すことよりも、一回一回の動きを丁寧に感じることが大切です。

左右それぞれ数回から始め、体の反応を確認してください。

セルフケアを行う際の注意点

今回の運動は、すべての肩こり、首こり、腰痛に適しているわけではありません。

次のような場合は、無理に行わないでください。

・動かすと強い痛みが出る
・手足にしびれが出る
・力が入りにくい
・強いめまいや吐き気がある
・転倒や事故の直後である
・発熱や強い体調不良がある
・医療機関から運動を止められている

痛みが強い場合や、症状が長期間続いている場合、徐々に悪化している場合には、自己判断だけで運動を続けず、医療機関などの専門家へご相談ください。

まとめ

今回は、胸椎の横への動きと回旋を組み合わせたセルフケアをご紹介しました。

胸椎の動きが少なくなると、その不足を補うために、首や腰などの周囲が過剰に動くことがあります。

今回のセルフケアでは、筋肉を強く伸ばすのではなく、自分で小さく動きながら、胸椎の位置や動きに関する感覚を脳へ届けていきます。

ポイントは次の3つです。

・大きく動かそうとしない
・呼吸を止めない
・痛みのない、気持ちよい範囲で繰り返す

セルフケアは、やり方だけでなく「なぜ行うのか」を理解することで、続けやすくなります。

自分の体がどの方向へ動きやすく、どの方向へ動きにくいのかを感じながら、無理のない範囲で続けてみてください。

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